労働問題の対処法
日頃のそなえ
職場でおこる様々な問題の解決には、外部からの支援も必要ですが、当事者の準備も重要です。
突然の解雇などにあった場合は、準備の時間がありません。常日頃から以下のような備えを心がける事をお勧めします。
1. 事実関係を記録する
不払いの残業代を請求する場合は、出勤・退勤の時刻を記録しておけば断然有利です。タイムカードをコピーしたり写真を撮ったり、タイムカードがない場合は自分で時刻と仕事内容を手帳やカレンダーにメモするだけでも有利な証拠となります。PC電源の入り切りデータも有効です。
パワハラや嫌がらせの是正を求める場合は、いつ・どこで・何があったか、事実関係をメモするなりして記録しておく必要があります。多くの場合、会社はパワハラの事実そのものを否定します。暴言などを秘密録音できれば、決定的に有利な証拠になります。
毎日の仕事内容などを記録しておけば、不当解雇や不当配転の際に、デタラメな主張に反論する材料になります。
2.資料を残す
求人票や雇用契約書や労働条件通知書、給与明細などの書面は、必ず保存しておくべきです。就業規則なども機会を見て記録化すべきです。
そもそもどんな内容の雇用契約を結んでいたか証明するのは、求人票、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則です。毎月いくら賃金が支払われていたか、いなかったかを証明するのが、給与明細です。
会社の人間とのメールやLINEの内容も保存しておくべきです。最近は、LINEで業務指示をしたり、報告を求めたりする会社が増えています。事実関係を証明する有効な資料になりますのでスクリーンショットで記録を残すとよいです。
3. 仲間を作る
信頼できる仲間がいることは、職場での嫌がらせやパワハラの抑止力になります。パワハラなどが起こった時も、当事者の精神的支えになります。また、職場の仲間の証言は大きな力をもちます。
職場環境の改善や労働条件の向上、権利実現にも、まとまって要求する事が決定的な力を持ちます。
4. 学習する
労働基準法など労働法規に表されている自分たちの権利について知っていれば、不当な権利侵害について、問題が小さいうちに知ることができます。
例えば、「うちの会社には有給休暇がない」というような会社が多々ありますが、例外なく勤続半年を超えれば10日間の有給休暇の権利が発生し、パート労働者にもアルバイトにも働く日数に応じて有給休暇が与えられます。
例えば、会社には、労働者が安全に健康に働けるように職場環境を整備する義務があります(安全配慮義務)。職場のイジメやセクハラ・パワハラは、個人的な問題ではなく、会社側に解決の責任があります。あなたがセクハラ・パワハラで悩んでいるとしたら、その解決の責任は会社にあるのです。
また、不当な扱いを受けたときに、怯えや恐怖を感じるのでなく、自分の権利に確信を持って、不当な対応には冷静に怒ることができます。ぜひ、学習することをお勧めします。
★解決へのルート
① 労働相談の窓口に電話やメールで相談する ➡ 相談内容に応じて、以下の②~⑨をアドバイス
② 労働組合に加入する、または職場で労働組合(支部)を結成する。
二人以上いれば労働組合を結成できる(労働組合法)➡
会社に団体交渉申し入れ。会社は応じる義務がある
場合によって③~⑨を併用。悪質な場合、宣伝行動・抗議行動やストライキ、マスコミ発表などを行い社会的に闘う。
③ 都道府県労働局に相談する ➡ 労働局長による助言・指導、紛争調停委員会によるあっせんなど
④ 都道府県の労働行政機関に相談する ➡ 東京都は、労働相談情報センターで賃金不払いや解雇をはじめ労働問題全般に関する相談に応じている(多言語での相談有)
⑤ 労働基準監督署に相談する ➡ 監督官による調査・指導
⑥ ハローワークに相談する ➡ 調査
⑦ 法テラス・弁護士に相談する ➡ ③・⑤・⑨など
⑧ 簡易裁判所 ➡ 少額訴訟(自力でも可能)
⑨ 地方裁判所 ➡
労働審判(通常3回で審判が出る)。自力でも訴訟可能だが、通常は代理人に委任する。
多くの訴訟は傍聴や宣伝行動、マスコミ発表などを行い社会的に闘う。